9月に入ったとたん律儀に気温が下がり、聞こえてくるのは蝉の声よりも秋の虫の声。なんだか寂しいな〜なんて思っていたら、それどころではない、とんでもなく寂しい知らせを聞いた。

地元石神井の住宅街に、昔ながらの個人商店がぽつぽつと並ぶ小さな商店街「石泉ショッピング街」がある。

そのなかの一軒、鶏肉専門の精肉と惣菜の「藤木商店」は、大好きな店だ。優しそうな夫婦が営む昔ながらの肉屋で、店頭に並ぶ惣菜は酒のつまみにもごはんのおかずにもぴったり。からあげ、コロッケ、チキンロール、手羽焼き、レバからなどなど、どれも大好物だ。

この店は僕の娘もお気に入りで、たまに「からあげやさんにいきたい」と言うと連れて行く。ご夫婦は相当な子供好きらしく、僕が子供を連れているのを見ると顔を崩し、何度も何度も「かわいいね〜」と言ってくれるのだった。

そんな藤木商店が閉店してしまうとを教えてくれたのは、地元に住む知人の新聞記者さん。藤木商店にはつい最近も行ったばかりなのに、すでに8月31日に閉店しており、惣菜の販売のみ月4日までしているという。4日といえば明日だ。

とても信じられない、というか信じたくないけれど、とにかくその営業最終日、僕は藤木商店に行ってみた。

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知らせは本当だった。

時刻は昼すぎ。なじみの客であろう人たちがひっきりなしに買い物に訪れ、奥さんに思い思いの挨拶をしている。精肉の営業が終了しているからだろうか、ご主人の姿はなかった。

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すでにほぼ空になった棚を見るのが辛い。いつもはここに、大好きなごちそうたちが所狭しと並んでいたんだけどな。

それでも何か買えるものはないか聞いてみると、鶏のもも焼きならまだあるというので、それと、棚に唯一残っていたポテトサラダを買って帰った。

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なんとも切ない昼酒(ちなみにこの写真を撮ったあと、もちろん家族で分けました)。

ところで、藤木商店のもうひとつの名物といえば、夕方5時から販売が始まる、店で焼く焼鳥。この日も販売があるということで夕方、もう一度店に足を運ぶ。

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無事全種類を1本ずつ注文できて、店頭のひさしで雨宿りをしながらのんびり焼きあがりを待つ。その間、ふたりの小さな子供を連れた若い夫婦がやってきて「どれが食べたい?」「あれとこれと……」なんて会話を楽しそうにしていた。きっとこの店が大好きだったんだろうなぁ。

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正真正銘、我が家にとって最後となる藤木商店の焼鳥が焼けてゆく。

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帰りに同じ商店街にある「三由酒店」で買った、コンビニなどではなかなか見ない「ハイサワー」の缶と合わせて、じっくりと味わう。甘すぎずキリッとしていて味わい深いタレが絶品の焼鳥と、キレのいいハイサワー缶の相性が妙に良く、僕にとってはこれぞ地元の味だ。

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たっぷりのタレに、実直な人柄がそのまま詰まっている。

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藤木商店さん、長い間おつかれさまでした。いつもありがとうございました!


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